日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2020年6月25日

一般質問②中原区内の公園の現状と課題、園庭のない保育園について

中原区内の公園の現状と課題、園庭のない保育園について

まず、中原区内の公園の現状と課題について伺います。

質問1(建設緑政局)

 昨年の第三回定例会での我が党の代表質問で、本市の一人当たりの都市公園面積は約4㎡で政令市ワースト2位であるという答弁がありました。さらに中原区におきましては、区内都市公園総面積81.67haを6月1日現在の人口263725人で割りますと一人あたりの都市公園面積は3.1㎡となり、政令市ワースト2位の本市の数値をさらに下回る状況となっています。

都市公園データベース(国土交通省)より

 一方で2018年3月策定の「川崎市緑の基本計画」では、緑の目標として2027年度末で市域面積の30%以上に相当する施策の展開を目指すとして、公園については54ha増加させる目標を掲げていますが、中原区の現状として大規模な再開発事業が展開され都市化が進行している一方で、2006年度から樹木の集団が約2.5ha減少していると記載があります。掲げる目標に対し実態が逆行しているのではないかと思いますが、今後の中原区での緑の確保についての課題、方向性について建設緑政局長に伺います。

答弁1

 緑の基本計画についての御質問でございますが、

 市域の大半が市街化区域である本市におきましては、樹林地等の減少傾向が見られる中、丘陵部に残る貴重な緑地の保全や、市街地での緑化地の創出を図るなど、緑の確保に向けた多様な施策を展開しておりまして、平成28年度末から25へクタール増加し、平成30年度末時点における緑の総量は、 4,344へクタールとなっております。

 中原区につきましては、都市化の進展によりまとまりのある緑の確保が難しくなっておりますが、市民の皆様や民間企業等と連携しながら地域特性に応じた緑地を創出するなど魅力ある都市景観の形成に取り組むとともに、多摩川や等々力緑地など多様な緑の資源のさらなる活用を図ってまいります。

※本市の緑地の保全、緑化の推進、都市公園の整備に関する総合的な計画「緑の基本計画」⇒http://www.city.kawasaki.jp/530/page/0000023138.html

質問2(建設緑政局)

 市内で25ha増加したのに対して、中原区では2.5ha減少しているわけですから、都市化が進むことによって緑の確保がいかに困難な課題であるかが明白です。次に、一人当たり面積3.1㎡と本市の数値を下回る中原区内の都市公園について伺います。地域の課題として特に深刻なのが新丸子東、上丸子山王町、丸子通り、新丸子町、上丸子天神町、上丸子八幡町で構成される丸子地区です。昨年9月に策定された中原区地区カルテに各地区の公園の数が記載されていますが、大戸地区公園数30、小杉地区公園数23、玉川地区24、住吉地区32の公園数に対し、丸子地区はたったの5つ。けた違いの少なさとなっています。

※中原区を5地区に分け、地域情報と、情報をもとに地域の特徴や課題等を分析した内容をまとめたもの「中原地区カルテ」⇒http://www.city.kawasaki.jp/nakahara/page/0000116076.html

 公園の整備について、「歩いて行ける身近な公園の整備推進に向けて」には、小学校区を構成する町丁目の3分の2以上に設置されるように基準を設けているとのことですが、この基準に照らし、丸子地域で新丸子東や上丸子山王町等が学区となる上丸子小学校を基準にどれほどの公園を確保していくのか伺います。

答弁2

 公園設置についての御質問でございますが、

 上丸子小学校区におきまして、対象となる町丁目が7つございまして、公園配置の目標を満たすためには5つ以上の町丁目に公園が設置されている必要がございます。現在のところ、 2つの町丁目に公園が設置されておりまして、この他に3つ以上の町丁目において公園の設置が必要と考えておりますことから、引き続き、用地の確保に向けて、寄附や借地に関する地域の情報収集を行うなど、身近な公園整備に取り組んでまいります。

上丸子小学校学区内、対象の町丁目で3つの公園を整備していくとのこと

要望

 対象の町丁目に3つ以上の確保を借地や寄付という方法で整備していくという答弁ですが、事前に、中原区内の全ての公園の取得方法を調査したところ、中原区内114の公園のうち、借地で確保したのは11か所。寄附で確保した公園は3カ所しかありません。その手段だけでは確保が優先される地域での公園整備は、特に都市化が進む中原区において困難を極めるのではないでしょうか、取得方法で一番割合が多かったのは用地買収の27か所です。限られた方法に限定するのではなく、思い切った用地買収も含めた積極的な公園整備を要望いたします。

質問3(こども未来局)

 関連して、こども未来局長に伺いますが、まだまだ再開発が展開されている小杉駅周辺で働く保育士の方からは「遊ばせるために園児を公園に連れて行っても、他の保育園と重なってしまい、譲り合いと言われているが充分に子ども達を遊ばせられない」という声をお聞きしました。事前に中原区内の園庭がない認可保育所の園庭代替地利用状況をお聞きしたところ、小杉御殿町の一つの公園に4園が利用するとのことです。ディスプレィをお願いします。

 小杉、新丸子駅周辺には認可、認可外含め多くの保育園が点在していますが、平日の昼間ともなりますと、あちこちで園児たちが公園へ向かって行く列を見かけます。事前に調査した傾向として、小杉駅北側、新丸子駅周辺の保育園は、北は中原街道、東は綱島街道、南は南武沿線道路、西は府中街道と4方向を幹線道路で囲まれている為、

赤は現在稼働中、黄色は開園予定の保育所です。

 このエリア内で園児たちを遊ばせる、またはお散歩で公園を利用する傾向が見られます。移動中の安全面を考えれば、毎日行う公園利用やお散歩に幹線道路の横断を避けるのは必然です。このエリア内には、来年2月開園に向けて改装中の中原保育園を除き、ピンクでお示しした認可保育所10園、認可外保育所4園、合わせて14の保育所が現在稼働し、認可保育所10園のうち満2歳児以上の幼児一人につき3.3㎡以上の面積を確保するという基準を満たす「園庭がある保育園」は、僅か1園のみしかありません。加えてこのエリアには5つの公園があるわけですが、そのうちのガード下にある新丸子公園はあまり日当たりが良くなく、今年4月から同公園に隣接するかたちで保育園が開園となった為、公園の面積も半減しています。

新丸子公園

 また、もう一つの丸子通り公園も細長い小さな公園のため、利用希望は一園のみ。残る三つの公園を多くの保育園が利用することになるわけですから、小杉御殿町公園を4つの保育園が利用することとならざるを得ず、いつ行っても他の保育園と重なってしまうという保育士の方から寄せられた声の通り、園児達が外遊びをする時間も、場所も確保できないのは当然の現状になっています。

 コロナウイルス対応の中で示された「新しい生活様式」のなかでは「公園は空いた時間、場所を選ぶ」と記載もあるわけですから、園児達の感染予防も含め、各園の公園利用状況を市が把握し、利用調整、若しくは少なくとも近隣保育園で利用時間を共有していくべきではないでしょうか、伺います。

答弁3

 保育所等の公園の利用についての御質問でございますが、

公園利用につきましては、各区保育総合支援担当等が開催する連携会議等で、近隣の保育所等が、情報交換を行い、その中で公園利用の状況や利用の際のマナー等について確認し合っているところでございます。今後につきましても、公園の利用は、地域の利用者への配慮も必要でございますので、連携会議等を活用し、保育所等の間の情報共有を推進するとともに、保育所等への支援のーつとして、園庭のない保育所等に公立保育所の園庭を開放しておりますので、引き続き利用について周知してまいります。

質問4(こどもみらい局)

 答弁にある公立保育所の園庭は少なくともこのエリアでは中原保育園が建て替え中の為、来年2月までは使用することができません。連携会議には、認可外の関係者の方も参加されているとのことですので、ぜひ公園の利用状況を近隣の各園で共有していただき、厳しい環境ですが、円滑な利用ができるようフォローしていただければと思います。ディスプレイには黄色でお示ししていますが、さきほど申し上げた来年2月に中原保育園が開園、4月にも新たな保育園が開園予定とのことです。中原保育園は園庭がありますが、新たな保育園には基準を満たす園庭が設置されるのか伺います。また、今後もこのエリアには新たなタワーマンションが建設予定です。子ども達の健やかな成長を促すためにも園庭のある保育園を整備していくしか選択肢はないと考えますが、園庭のある保育園を整備していく方針はあるのか、伺います。

答弁4

 保育所の園庭についての御質問でございますが、

 当該エリアに新たに開園する小杉町2丁目地内の保育所につきましては、認可基準を満たす専用園庭を確保する予定でございます。なお、今年度から「民間事業者活用型保育所整備事業」において定員90人以上の保育所で認可基準を満たす専用園庭をあわせて整備する場合には、補助額の上限額を引き上げることとしましたので、より良い環境の中で保育サービスが提供できる保育所整備に向け、取り組んでいるところでございます。

要望

 補助額の引き上げで専用園庭整備を後押しする本市独自の施策とのことですので、今後も推移を見守らせて頂ければと思いますが、お聞きした来年4月開園予定の保育所も60人規模とのことで、当該エリアでは、そもそも90人規模の保育園を整備する為の土地の確保が非常に難しい状況です。本市の保育所募集要項の中には専用園庭の有無も評価項目に入っているわけですから、答弁にもある、より良い環境の中での保育サービスの提供を実現するために、少なくともこのエリアには基準を満たした園庭のある保育園を増やすことを切に要望いたします。

質問5(まちづくり局長)

 最後にまちづくり局長に伺います。事前に何か具体的な提案できればと、小杉、新丸子駅周辺で本市が所有する園庭付きの保育園、公園が整備できるような広さの土地の有無を財政局に調べていただきましたが、やはりそんな用地は残されていません。当該エリア内の決して広いとは言えない公園で園児達が所せましと遊んでいると、周辺の住民の方から園児達の声がうるさいという苦情が入り、せっかくの外遊びの時間も、声を出さずに静かに園児達を遊ばせることになってしまうというお話をお聞きしました。未だ開発が続く小杉駅周辺のまちづくりは、賑わいを創出している一方で、見えにくい所では結局のところ、そこで生まれ、育つ子ども達にシワ寄せが及ぶこととなり、子育て環境の面からみても限界にきているのではないでしょうか、見解を伺います。

答弁5

 小杉駅周辺地区のまちづくりについての御質問でございますが、

 同地区につきましては、これまで民間開発事業の機会を捉え、地区計画等を活用し、子どもから高齢者まで幅広く利用できる公園をはじめ、広場や歩道状空地等の整備を計画的に誘導し、都市基盤の充実を図ってきたところでございます。今後も民間活力を活かした開発事業等の適切な誘導を図り、駅を中心に誰もが安全で快適に歩いて暮らせる持続可能なまちづくりを推進してまいります。

意見・要望

 地区計画により容積率を緩和する一方で、公開空地を含む公園を確保してきたという答弁と理解しましたが、

平成8年に再開発促進区に指定
昭和45年創設の建築基準法、公開空地、容積率緩和を根拠に、
平成9年には法52条法第57条の5が創設され
容積率約600%まで緩和可能に
2020年4月現在の小杉地区の開発動向

 地域の方からのお話では、この小杉の再開発が始まった当初は小杉駅南側の工場跡地で充分な敷地があった為、日照権などの問題は生じなかったが、その後タワーマンションが次々と増え続け、ついには南武沿線道路を飛び越え住宅街に隣接する形で建設されることに伴い日照権、ビル風など地域住民の生活圏に大きな影響を及ぼす問題が次々と生じてきたとお聞きしました。今日お示ししたのはまさにその小杉駅北側エリアです。

 人口一極集中による偏った保育ニーズの増加、それに対応するために周辺には次々と園庭のない保育所が整備され、園庭の代替地とならなければならない園児達が思い切り遊べる公園も譲り合いと聞くと聞こえはいいですが、つまりは不足の為の順番待ち、すぐに公園を増やそうとしても、市有地もなく用地確保は容易ではありません。そして地域の方からはただ外遊びをしているだけの子ども達が苦情の対象になってしまうという現状を鑑みますと、タワーマンション建設による人口の増加スピードが余りにも早過ぎて、その一部を公開空地として提供されたところで、人口に見合った十分な公園、緑地の確保は追いつきません。その結果が、冒頭で申し上げた、中原区の一人当たりの都市公園面積3.1㎡という、本市の平均を遙かに下回る数値として表れているのではないでしょうか。

 これ以上の新たなタワーマンション建設計画は、前の議会で我が党が代表質問でも取り上げた、神戸市のように規制をかけていくべきです。それが答弁にもありました、誰もが安全、快適に暮らせる持続可能なまちづくりに繋がっていくのではないでしょうか。今後もこのまちづくりの問題は粘り強く取り上げさせていただくこととして、次の質問に移ります。

神戸市のタワーマンション規制に関する神戸新聞記事⇒https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201906/0012415103.shtml


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