日本共産党
川崎市議会議員

市古次郎

ブログ
2019年9月30日

決算審査特別委員会 質疑その③

最後に9月25日に総務委員会分科会で行なわれた質疑です(原文ママ)。

公契約制度について

 公契約制度について伺います。千葉県野田市に次いで、全国2番目に制定され2011年4月より施工されている本市の公契約条例ですが、その目的、趣旨について「市の事務又は事業の質を向上させるとともに、地域経済の健全な発展を図り、市民の福祉の増進に寄与する」ことで「契約により市の事務又は事業の実施に従事する労働者の労働環境の整備を図る」ために設けられたと平成28年12月の手引きに記載があります。

質問①
公契約の適用範囲について

 一点目に公契約の適用範囲についてですが、本市は制定当初から一貫して6億円以上の工事が適用です。実際に従事している方の声として、適用範囲拡大のため基準額引き下げを求める声も聞こえてきます。引き下げない理由として、川崎市だけでなく市議会も目を通すことになるからとのことですが、全国で初めて公契約制度を制定した野田市では、政令市である本市の基準がスタンダード化して、適用対象となる案件が少なくなってしまうことを懸念し、当初の1億円から5千万円に引き下げたとのことです。制度開始から8年。他の自治体と比較しますと次に高く設定しているのは目黒区の1億8千万ですから6億円というのは突出した額です。改めて、6億円以上の根拠について伺います。

初めてのグラフ作成…
慣れるまでもう少々お待ちください。

答弁①

 公契約制度の適用範囲についての御質問でございますが、本市の公契約制度における特定工事請負契約につきましては、工事案件に携わる多くの労働者を条例の対象とすることにより実効性を確保し、公契約制度の効果を高める必要があることから、契約に際し、市議会の承認が必要となる予定価格6億円以上の大規模工事案件を対象としているところでございます。

質問②
適用金額の引き下げについて

 多くの労働者を対象にすることにより実効性を確保する。とのことですが、先ほど例で挙げた野田市管財課にお聞きしたところ、一度引き下げて5千万円以上だった適用範囲を、適用範囲の更なる拡大を目的として、2015年からは更に4千万円へ引き下げています。事前の打ち合わせで平成30年度の特定工事請負の状況をお聞きしましたが、大規模工事がなかったという理由で公契約の占める割合が金額ベースで平成29年度の56.5%から23.7%へ減少しています。大規模工事がある、ないで左右されてしまうのは、適用金額が6億円と高すぎるからではないでしょうか。

 また市議会の承認が必要であることが根拠との答弁ですが、公契約適用範囲を1億円以上に定めている相模原市は議会承認が必要な契約額が3億円以上。適用額5000万円以上としている東京都多摩市は議会承認契約1億5千万円以上。厚木市も適用額1億円以上で議会承認契約額1億5千万円。公契約制度を導入している他の自治体は、議会承認が必要な契約額よりも適用範囲額を低く設定しており、根拠とはなりえません。

 多くの労働者を対象に安定的に地域経済の健全な発展を守る公契約を結んでいくためにも適用金額の引き下げが必要と考えますが、伺います。

答弁②

 公契約制度の適用範囲についての御質問でございますが、契約金額全体に占める特定工事請負契約の割合は、本市の事業計画や発注実績等により、年度ごとに増減があるところでございますが、多くの労働者が携わる案件を対象とすることで、実効性を確保しているところでございます。

 今後につきましても、社会情勢の変化や賃金状況の推移、他都市の状況等を見据え、受注者及び労働者の御意見を伺うとともに、作業報酬腐議会における審議を踏まえながら、特定工事請負契約の適用範囲の見直しについての検討を含め、労働環境の整備に努めてまいります。

質問③
申し出について

 ぜひとも他都市の状況を見据えて、適用額引き下げに舵を切っていただきたいと思います。次に作業報酬下限額について伺います。川崎市契約条例9条には支払われた当該作業報酬額が基準額を下回るときは申し出をすることができ、差額を受け取ることができるとあり、申し出先として財政局資産管理部契約課とホームページ上でも記載があります。制度開始から8年、過去に差額を求める申し出は契約課の方にありましたか、伺います。

答弁③

 「申し出」についての御質問でございますが、本市の公契約制度では、支払われている作業報酬が下限額を下回っているような場合には、労働者が、受注者に対してだけではなく、本市に対しても直接申し出ができることとなっております。

 過去において、作業報酬下限額との差額の支払いを求める内容の申し出につきましては、これまで本市への直接の申し出はございません。

質問④
アンケート調査における「もらっていない」と答えた14名について

 しかし、本市は2017年に公契約制度対象の工事契約を履行中の受注者及びその現場で働く労働者にアンケート調査を行っておりますが、その中で労働者に対する質問の問4では、そもそも「自分の職種とその職種の作業報酬下限額を知っていますか」との問いに、327名中76名23%、約4人に1人が、ご自身がどの職種で働いているのか知らないと回答されています。職種によって報酬が違うわけですから、これでは作業報酬下限額をもらっているのかどうかも把握できない方が4人に1人存在していたとも取れます。さらに続く問5では、問4で作業報酬下限額を知っていると答えた方を対象に、作業報酬下限額をもらっていますか、という問いに対して14名の方がもらっていないとお答えになっています。ひょっとすると作業報酬下限額を手取り額と勘違いされていたかもれません。この14名の方の真意について確認されましたか、伺います。

答弁④

 アンケート結果についての御質問でございますが、平成28年度に実施した公契約制度対象工事に係るアンケートにつきましては、労働意欲や工事の質の向上について効果があると多くの回答をいただき、公共事業の品質の確保や契約に携わる労働者の労働環境の整備にー定程度寄与しているものと考えております。

 作業報酬下限額以上の支払いを受けていないとの回答についてでございますが、アンケートは無記名で実施したことから、回答者の特定には至らなかったところでございます。なお、回答があった公契約現場の受注者へのヒアリングや提出された作業報酬台帳からは、作業報酬下限額を下回る支払いは確認できませんでした。

質問⑤
現場調査について

 同条例8条では、申し出をしたことを理由に、当該対象労働者に対して、解雇、請負契約の解除その他不利益な取り扱いをしてはならない。と定めています。労働者を守る非常に重要な文言だと思いますが、実際には職人気質の皆様ですから、なかなか言いづらいことも考えられます。この下限報酬額がしっかり支払われているかのチェックは受注者から提出される台帳を契約課の皆様総出で審査しているとお聞きしましたが、過去の作業報酬審議会の摘録を見た限りでは一度も作業報酬下限額を下回った案件はないようです。しかしアンケート結果では、そもそもご自身がどの職種で働いているのか分からないという回答が約4人に1人いるわけですから、例えば今年の4月1日から適用される作業報酬下限額でいきますと、型枠大工で働いて本来であれば1時間あたり2912円最低でも報酬がもらえるところを、普通作業員という形で申請された場合、2401円が最低下限額になってくるわけです。これにより型枠大工作業報酬下限額以下での労働の危険性が生まれます。あくまでも仮定の範疇を出ませんが、こういったことが行われた場合、台帳審査での発覚は不可能ではないでしょうか、やはり、再度公契約適用工事が行われている現場に足を運んで直接聞き取りに行く必要性があると考えます。他の自治体では、建設組合と行政が一緒に現場調査へ行った事例もあるとお聞きしました。本市も同様の現場調査を実施するお考えはありますか、伺います。

答弁⑤

 公契約制度の現場調査についての御質問でございますが、作業報酬下限額を定めることで、本市公共事業に従事する労働者の賃金を下支えし、労働環境を整備し、本制度を適正に運用することは大変重要なことであると認識しております。こうしたことから、平成28年度には、公契約制度対象工事において現場訪問やアンケートを実施したほか、昨年度におきましては公契約制度対象の業務委託において、受注者及び労働者にアンケート調査を実施したところでございます。今後につきましても、作業報酬審議会の意見を伺いながら、現状把握に努めること等により、制度の適正な運用を図ることで、公共事業の品質の確保や事業に従事する労働者の労働環境の整備に努めてまいります。

質問⑥
契約課の業務体制について

 ありがとうございます。3年前のアンケート調査では無記名投票の為、特定に至らなかった経緯も踏まえて、継続的な現場調査、現状把握に努めていただくよう要望いたします。一方で公契約条例適用現場を請け負ったある事業主の方からは「この作業下限報酬額を支払えば、赤字になってしまう」との声も出ているとお聞きしました。そもそも予定価格は適正なのか、2011年の制度開始時76.2%だった平均落札率も、低入札における失格基準がないWTO対象案件を除けば、高い年は97.9%など90%台を推移しております。それでも赤字になってしまうとなりますと、予定価格が低すぎるのではないかという懸念も生まれてきます。正確な積算を実施するためにも建設業協会からは、工事案件の金額や工事規模、内容、施工難易度によって細かい条件を反映して積算できる技術系職員を契約課各係に配属する要望もお聞きしましたが、新たに配属するお考えはおありでしょうか、加えて契約課の職員数ですが、平成26年の組織改革で2名減らされたまま補充されていません。その2年後の平成28年には給食調理業務も公契約案件として追加されていますので、果たして現在の業務に対して今の人員は適切だとお考えですか、伺います。

答弁⑥

 契約課の職員についての御質問でございますが、技術系職員の配置につきましては、これまでも、各入札案件等の執行に当たり、工事発注局の技術職員と事前に協議し、条件等の設定を行っているほか、総合評価落札方式の発注や低入札価格調査に際し、関係技術職員が参画するなど、適正な発注を行ってきたところでございます。

 業務の執行に当たりましては、限られた人員の中でより効率的・効果的な執行体制を確保することが重要であると認識しておりますので、引き続き、入札の公平性、競争性及び透明性に留意しながら、入札契約制度の適正な運用に努めてまいります。

要望

 本市の公契約制度は政令市で初めて制定された先駆けとなった制度です。しかしまだまだ課題があると感じざるを得ません。様々な建設関係者の方にお話をお聞きしましたが、中には「川崎市はトップダウンで決めた制度だから実効性が低いのではないか。本市よりあとに、行政、受注者、労働者で共に練り上げ公契約条例を制定した自治体は実効性のある公契約になっている」とお話されている方もいらっしゃいました。今後も受注者、労働者の意向を良く踏まえていただき、公契約適用範囲の引き下げ、継続的な現場調査、適正な予定価格の設定、業務の執行体制の強化など引き続き注視させていただきます。

 神奈川土建組合、川崎支部の方々は台風15号で被災した千葉へ休日を返上し復旧支援ボランティアに向かわれています。こういった地域を守る建設業界の皆様のためにも、制度導入の背景にある労働者の賃金にしわ寄せが及ぶ「負の連鎖」を断ち切る使命が地方公共団体にあると謳っている通り、実効性のある公契約制度の実現を強く要望いたします。

質問⑦
特定業務委託作業報酬下限額について

 最後に特定業務委託作業報酬下限額について伺います。令和2年度4月からの下限額が1056円と発表がありましたが、作業報酬審議会で示されたこの額の根拠を伺います。

答弁⑦

 作業報酬1下限額についての御質問でございますが、特定業務委託契約の作業報酬下限額につきましては、神奈川県の最低賃金額を勘案することとされております。

 本年8月に県の審議会が、最低賃金を現行の983円から28円引上げ、 1,0 11円とする答申を行ったことから、本市においても、令和2年度の特定業務委託契約に適用される作業報酬下限額について、川崎市作業報酬客議会に諮問したところでございます。

 審議会においては、最低賃金の推移や社会経済状況、雇用環境等を踏まえ審議した結果、下限額を1,056円とする旨の答申を受けたことから、 9月に同額の1,056円で決定したところでございます。

要望

 ありがとうございます。安定的に上昇していることに加え、昨年実施されたアンケート調査では労働者の中で作業報酬下限額をもらっていないと回答された方は0人であったことは歓迎させていただきますが、一方でそのアンケート、受注者の方からは、「労働者不足が深刻で、最低賃金の募集では応募はない」や「都市部では実質的な相場がもって上になっているのが現状」との声も寄せられています。そもそも基準が最低賃金より少し上であれば良いという勘案が適正なのか、最新の最低生計費試算調査では週休2日、7時間半労働で時給1424円と試算されています。制度導入の背景で謳われている特定委託業務の品質確保、これらの業務に従事する労働者の労働条件の確保を鑑みて作業報酬下限額を勘案していただきますことを強く要望させていただき、質問を終わります。


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