日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2021年12月9日

12月議会代表質問(抜粋) 市長の政治姿勢について

 12月8日、大庭市議が日本共産党川崎市議団の代表質問に立ちました。市長の政治姿勢、新型コロナ対策、子育て支援、高齢者施策、臨海部の脱炭素戦略等、項目は多岐に渡りますが、それぞれ項目ごとに抜粋してご紹介します。

※正式な議事録ではありません。

市長の政治姿勢についてです。

川崎市総合計画、行財政改革についてです。

 2022年度から4年間を計画期間とする第3期実施計画・素案が出されました。本市の課題として、人口減少、少子高齢化、「厳しい財政環境」、扶助費の増大などの問題が挙げられており、これらを前提として、行財政改革、資産マネージメントを推進するとしています。

【質問】人口減少問題についてです。

 全国的には人口減少が大きな課題ですが、本市は今後9年間、人口増加が続き、2020年度より6万4000人増加し160万3000人。生産年齢人口も今後4年間で2万3000人も増え105万8000人になり、どちらも前回の推計よりも上方修正しました。今の人口よりも減少するのは30年後です。また、政令市との比較でみると、人口増加率、生産年齢人口の比率はともに最も高く、老年人口の比率は最も低く、平均年齢は最も若い都市です。こうしてみると川崎市は、全国的な特徴である人口減少問題には当てはまらず、逆に急激な人口増加が続き、政令市で最も若く、働き盛りの人口が多いなど、非常に特殊な都市だといえます。以上のことから見て、今後10年間の川崎市の課題は、急激な人口増加にどう対応するのか、また、現役労働者への支援、子育て対策をどうするのかだと思いますが、市長に伺います。

【答弁】市長

 総合計画についての御質問でございますが、国全体が人口減少社会を迎える中、引き続き、本市では、当面の間、総人口の増加が続くと推計したところでございますが、同時に、本市においても避けることのできない人口減少の時期がおよそ10年後に差し迫った状況でもございます。
 こうしたことから、着実に進展している少子高齢化への対応や、活力と魅力にあふれる力強い都市づくりなどの取組を引き続き推進するとともに、人口減少社会の到来を見据えた取組’についても、併せて進めていく必要があると考えているところでございます。

【再質問】 

 「今後10年間の川崎市の課題は、急激な人口増加にどう対応するのか」ではないのか、という質問に対して、「人口減少の時期がおよそ10年後に差し迫った状況」という答弁でした。しかし、現在よりも人口が減少するのは30年後です。今でも不足している公的施設を30年間増設しないで我慢しろというのでしょうか。例えば、市営住宅です。「増設すべき」という質問に対して「総床面積の抑制を図る」という答弁でした。しかし、応募の平均倍率は5年前の9倍から現在は19倍と跳ね上がっています。さらに、今後、人口増加、困窮世帯の増加、災害時の宿泊施設、高齢化による単身世帯の増加などニーズは上がるばかりです。「変化する社会的ニーズに的確に対応する」というのであれば、総床面積も含め、増設すべきです、市長に伺います。

答弁【市長】

 総合計画、行財政改革についての御質問でございますが、国全体が人口減少社会を迎える中、本市では、当面の間、人口の増加が続くと推計しているところでございますが、同時に人口減少の時期がおよそ10年後に差し迫った状況でもございます。こうした中、必要な施設やサービスの確保につきましては、施設の利用状況や市民二ーズの変化等を十分に踏まえながら、施設の多目的化や複合化などの資産保有の最適化を進めるとともに、将来にわたり持続可能な行財政基盤を構築し、安定的な行財政運営を行うことができるよう、更なる経営資源の確保に努め、必要な市民サービスを提供してまいります。

【質問】少子化問題についてです。

 人口推計では、全体の人口が増加しているのに、年少人口、子育て世代だけは減少しています。2020年の人口動態調査では、市外への転出により9歳までの子どもが1937人減少、35歳から44歳までの、いわゆる子育て世代が1427人減少しています。2018年、まちづくり局が市外転出者に対しておこなったアンケートでは「川崎市が不足していた点」という質問に「保育など子育て支援施策の充実」という回答が1位となっています。現に小児医療費助成制度は、通院での対象が小学6年生までで、しかも一部負担金や所得制限があり、県内でも政令市の中でも最低レベルです。認可保育園に希望しても入れない児童は、毎年約3000人も出ています。こういう子育て支援策の遅れが年少人口、子育て世代の減少につながっているという認識があるのか、市長に伺います。少子化、人口減少は今から対策を打てば食い止めることは可能です。子育て世代に対する支援策、特に遅れている小児医療費助成制度拡充や認可保育園の増設は待ったなしの課題だと思いますが、市長に伺います。

【答弁】市長

 少子化についての御質問でございますが、国の少子化社会対策大綱によりますと、少子化の主な原因といたしましては、特に、若い世代での未婚率の上昇や初婚年齢の上昇など、未婚化・晩婚化の影響が大きいと言われており、その背景には、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、子育て中の孤立感や負担感、子育
てにかかる費用負担の重さなど、様々な要因が複雑に絡み合っているとされております。
 社会保障制度や子育て支援制度、雇用政策など、国レベルでの対策をはじめ、社会全体で子どもを育てる意識を醸成することが必要であると芳えております。
本市といたしましては、これまでも、子ども・子育て支援を最重要課題として、待機児童対策を推進するとともに、小児医療費助成制度の拡充などに取り組んできたところでございますが、今後につきましても、本市の子育て家庭を取り巻く状況をしっかりと踏まえた上で、安心して子どもを産み育てることができる環境づくりに向け、総合的に子育て支援施策を推進してまいります。

【再質問】                

 答弁は「子育て支援策を最重要課題として、待機児童対策、小児医療費助成制度の拡充に取り組んでいる」という答弁でした。しかし、言っていることと実態は全く違います。認可保育園を希望しても入れない児童が毎年3000人を超え、小児医療費助成制度は県内でも政令市でも最低レベルです。この施策の遅れのために子育て世帯の人口まで減っているのです。「人口減少社会への対応」という前に人口減少にならない取り組みこそ必要です。今から着手すれば、現在よりも人口が減少するといわれる30年後には間に合います。特に認可保育園の増設、小児医療費の拡充こそ、少子化問題、人口減少を食い止める施策ではないですか、市長に伺います。

【答弁】市長

 少子化についての御質問でございますが、少子化の原因といたしましては、様々な要因が複雑に絡み合っているとされておりますので、国レベルでの対
策をはじめ、社会全体で子どもを育てる意識を醸成することが必要であり、本市といたしましても、引き続き、子育て家庭を取り巻く状況をしっかりと踏まえた上で、安心して子どもを産み育てることができる環境づくりに向け、総合的に子育て支援施策を推進してまいります。

【質問】扶助費の増大という理由についてです。

 20年度決算では扶助費は、前年度比で102億円増ですが、義務的経費の扶助費の割合は21.7%となり5.1ポイント減。しかも、一人当たりの扶助費の額は引き続き政令市平均を下回っており、福祉予算である民生費も1人当たりにすると政令市平均よりも約1万円低い状況です。一方、一人当たりの個人市民税は、政令市平均より約3万円高く、政令市トップです。個人市民税は政令市で最も高いのに、その税収が福祉・暮らしには十分還元されていないのが特徴です。支出額から見ても「福祉の増進」という地方自治体の役割からみても、「扶助費の増大」を「財政が厳しい」理由にすべきではありません。財政が厳しくなるから、行革で扶助費を削るという理屈は通らないと思いますが、市長に伺います。

【答弁】市長

 行財政改革第3期プログラム素案についての御質問でございますが、今後、社会経済状況が大きく変化し、およそ10年後には人口減少が見込まれ、今後も厳しい財政環境が見込まれる中、将来にわたり持続可能な行財政基盤を構築し、市民満足度の向上を図りながら、効率的・効果的かつ安定的な行財政運営を行うことができるよう、行財政改革の取組を推進していく必要がございます。
 また、行財政改革の取組の中で、扶助費に係る取組を含めた市民サービスの再構築を進める・に当たっては、必要陛や将来を見据えた持続可能性等の見直しの視点に基づき、事業の改善や見直しを進めてまいります。

【再質問】               

 財政が厳しい理由として「扶助費の増大」を挙げていますが、扶助費は増えていません。扶助費の一般財源の比率である経常収支比率は5年前と比べてもほとんど変わらず増えていません。

 1人当たりの額を見ても政令市平均より低いままで、民生費については一人当たりにすると1万円も低い状況です。扶助費の抑制どころか増額が必要です。ところが行財政改革の市民サービスの再構築、要するに見直しの項目として、高齢者、障がい者への補助事業、医療費助成事業などが数多く挙げられています。

 「必要性や将来を見据えた」見直しと進めるという答弁ですが、これらの事業は必要性がないどころか、さらに充実が必要な項目ばかりです。これらの施策で何一つ事業費を削減するような項目はないと思いますが、市長に伺います。

【答弁】市長

 行財政改革についての御質問でございますが、中長期的な観点から、将来的な経営資源の確保等に向け、人口動態の変化や新型コロナウィルス感染症を契機
とする社会変容等を踏まえながら、必要性や将来を見据えた持続可能性等の見直しの視点に基づき、市民サービスの再構築について、事業の改善や見直しを進めてまいります。

【質問】資産マネジメントについてです。

 「資産マネジメント第3期実施方針」素案では、人口減少、厳しい財政環境を見据えた公共施設の最適化を進めるとしています。しかし、総合計画について述べたように、人口減少、財政環境の前提が崩れています。財政が厳しいからと言って市民の財産である資産を売却したり、人口が減少するという理由で公共施設を減らすということにはならないと思いますが、市長に伺います。

 今後の戦略として、「施設の長寿命化」、「資産保有の最適化」、「財産の有効活用」を挙げています。「施設の長寿命化」についてですが、市は市民が本当に必要としている施設の長寿命化を最優先に取り組んでいるのでしょうか。例えば、橋梁の問題です。市の橋梁610本のうち築60年以上の橋が市内には41本あり、早急に修繕が必要な橋が24本、予防保全が必要な橋が310本も残っています。一方、臨海部の橋梁については、総額300億円の多摩川スカイブリッジや総額980億円の臨港道路東扇島水江町線など、その必要性も明確ではない不要不急の橋梁が最優先で整備されています。優先順位が逆ではないですか、市長に伺います。

【答弁】市長

 資産マネジメントについての御質問でございますが、本市が保有する公共建築物は長期に渡り保有し続ける資産であり、将来世代の負担が重くならないよう、保有総量を適切に管理することが必要と認識しているところでございます。また、令和3年2月に「川崎市公共施設白書」をとりまとめ、施設ごとの利用状況が明らかになったことから、今後、施設の多目的化や複合化等の「資産保有の最適化J への重点的な取組が必要と考えており、地域ごとに、施設の利用状況や人口動態等を踏まえ、施設の適正配置を推進してまいりたいと考えております。
次に、施設の長寿命化についてでございますが、既存の橋りょうの維持管理については、令和3年2月に改定した「川崎市橋りょう長寿命化4多繕計画」に基づき、長寿命化を推進しており、新設する橋りょうについては、国際的な拠点の成長や川崎港の物流機能の向上などの重要性を踏まえ、計画的に整備を進めており、双方のバランスを取りながら事業を実施しております。

【最後の意見】

川崎市総合計画、行財政改革についてです。

 「人口減少、財政問題、社会保障費の増大を理由に社会保障費を削減・抑制すべきではない」という質問に対して、明確な答弁がありませんでした。質疑を通じて明らかになったことは、行財政改革について、高齢者、障がい者、医療費助成制度などを行革の対象として見直し、削減するということ。資産マネジメントについては、不足している施設であっても公的施設は増設しないことなど、市民に対して極めて冷たい姿勢が明らかになりました。

 特に少子化が問題と言いながら、小児医療費助成制度、認可保育園の整備など子育て施策は遅れたまま。高齢化が問題と言いながら特養ホームは増設せず、高齢者施策の多くを行革の対象とするなど、言っていることとやっていることは全く逆です。

 地方自治の本旨は「福祉の増進」です。そして市の課題は、人口増加にどう対応するのか、福祉をどう増進するのかです。人口減少、財政問題、社会保障費の増大という理由は撤回し、福祉抑制する計画を抜本的に改め、人口増加に対応した福祉充実の計画に改めることを求めておきます。

 収支フレームについて、21年度予算の収支不足マイナス286億円をベースに推計したとのことでした。しかし、その後に20年度決算が出て、収支がプラスになったのです。20年度決算をベースにしないとコロナ禍での影響や実態に即した推計にはなりません。20年度決算をベースに収支不足、収支フレームを作り変えることを求めておきます。

議題の各素案、現在パブコメ実施中です(12月27日まで)。

 以上となります。現在、「川崎市行財政改革第3期プログラム素案」「川崎市総合計画 第3期実施計画 素案」及び「資産マネジメント第3期実施方針素案」についてパブリックコメントが行われています。それぞれ膨大な資料になりますが、お時間許す方、川崎市の今後の方針について、ぜひ、お一人お一人の視点で、自由なご意見をお寄せいただけたら幸いです。

川崎市:「川崎市行財政改革第3期プログラム素案」に関する意見募集について (city.kawasaki.jp)

川崎市:「川崎市総合計画 第3期実施計画 素案」に関する市民意見募集について (city.kawasaki.jp)

川崎市:「資産マネジメント第3期実施方針 素案」に関する意見募集について (city.kawasaki.jp)


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