日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2019年12月13日

一般質問①山王排水樋管周辺浸水被害について

 12月議会、日本共産党川崎市議団トップバッターとして一般質問に立たせていただきました。傍聴に足を運んで下さった皆様、ありがとうございました。本日より3回に分けて質疑内容のご報告をさせていただきます。

山王排水樋管周辺浸水被害について上下水道管理事業者に伺います。

質問①

 山王排水樋管周辺浸水被害について上下水道管理事業者に伺います。

 台風19号によって発生した水害により、中原区での住家被害は1049件、12月4日時点で令和元年度台風19号への本市の対応については第29報を数えましたが、いまだに被害件数は増え続けています。約45haにも及ぶ浸水被害を出した山王地域を対象に11月19、20日の日程で住民説明会が行われました。

 被災された住民からはゲート操作手順の不備、これまでの対策への疑念から「これは天災ではなく人災だ」という厳しい指摘が続きました。そこで配布された資料には、浸水の原因について多摩川からの逆流と記載があります。実際に被災地の堆積した土砂の状況を見てもそれは明らかです。改めて操作手順について伺います。

 山王排水樋管ゲート操作手順には川崎市防災気象情報、国交省川の防災情報、小河内ダム放流情報等のデータ収集とありますが、降雨がある、レインネットかわさき等で降雨の恐れがある場合はゲートを全開とあるわけですから、どれだけ多摩川の水位が上昇しても内陸で降雨がある場合はゲートを閉めないという理解でよいのでしょうか、伺います。

◎答弁①

 山王排水樋管ゲートの操作手順についての御質問でございますが、

 排水樋管ゲートは、操作手順に基づき操作するものとしており、その操作条件として、降雨がある場合や大雨警報が発令されている等、降雨の恐れがある場合にはゲートを全開にすることとしております。

 なお、これを前提条件として、多摩川田園調布(上)観測所の避難判断水位である7.6mを超えた場合には、ゲート開閉について総合的判断を行うものとしております。

質問②

 少し分かりにくい答弁ですが、7.6mを超えた場合の総合的な判断を行なうことより、内陸に降雨がある場合は全開という前提条件が優先される操作手順であると事前の説明で理解しました。

 等々力緑地の東京側、大田区と世田谷区のちょうど境に、付近を流れる丸子川増水時に多摩川へ排水する樋管があります。そこに多摩川からの逆流を防ぐため、東京都下水道局が管理、大田区が操作する上沼部排水樋管ゲートが設置されていますが、やはり台風19号通過時ゲートは18時に閉鎖したとのことです。

令和元年11月24日付  都市基盤整備部より

 しかし、隣の世田谷区が操作する等々力排水樋管ゲートは閉鎖を試みたものの作動せず、そこから発生した多摩川の逆流が要因で、大田区でも浸水が発生したと公式発表されています。

令和元年11月24日付  都市基盤整備部 より

 加えて、先の代表質問の中で、河川課にあった逆流が始まったらゲートを全閉にするという通達はあくまでも河川管理施設が対象とのことでしたが、東京都は、河川課が管理しようと下水道局が管理しようと逆流が始まったら閉鎖する規定は同じになっているとのことです。同じ多摩川に設置されている河川課が管理する三沢川水門、東京都の河川課、上下水道局が管理する水門、樋管ゲートは逆流したら閉鎖でマニュアルは統一されています。なぜ本市の上下水道局管理の樋管ゲートだけ、逆流が始まっていたとしても内陸の降雨の状況のみをゲート閉鎖の前提条件にしていたのか、東京都のようにマニュアルを統一するべきではなかったのでしょうか、改めてそうしなかった理由を伺います。

答弁②

 排水樋管の操作についての御質問でございますが、

 上下水道局が管理している排水樋管は、内水を排除することを目的とした工作物であり、河川が開きょであることに対し、下水道は地下に埋設された暗きょであることなど、その構造や管理運用方法において、異なる特性を有するものでございます。

 しかしながら、今後の検証の中で上下水道局が管理している排水樋管ゲートの操作手順の見直しにおいても、国士交通省からの通知文書を参考にしてまいりたいと考えております。

質問③

 異なる特性とのご答弁ですが、ゲートの目的は逆流を防止することですから、同じではないでしょうか。代表質問でも申し上げましたが、ぜひ通告を参考にしていただければと思います。次に2017年に新設された丸子雨水幹線についてですが、

少し斜めですいません。

 本来8200㎥になるまでの間、丸子地区の雨水を貯留するためのものとのことですが、11月19日に山王地域住民説明会では、住民の質問に対し「その施設については、今回の台風の中では当然空の管の中に多摩川の水がきて、入っているのは間違いないです」との理事者の方からのご発言がありました。逆流がおきていなければ、雨水幹線の名の通り、雨水を貯留できる、丸子雨水幹線の効果が発揮できたのではないでしょうか、伺います。

答弁③

 丸子雨水幹線についての御質問でございますが、

 丸子雨水幹線の浸水対策の仕組みといたしましては、既存の下水管の能力で排水しれない雨水を、地表にあふれる前にこの雨水幹線に導水するものでございます。

 この度の台風第19号では、多摩川が既往最高水位を超える高水位となったことにより、河川水の影響をうけ、内陸に降った雨などが排水困難となり、丸子雨水幹線に流入したほか、多摩川からの逆流水の混入もあったものと想定されるところでございますが、浸水被害に対しては、一定の効果があったものと考えております。

質問④

 一定の効果があったという答弁でありますと、そもそも新設された雨水幹線は多摩川から逆流してきた水を貯留することも想定していたと理解します。逆流が始まってもゲートを閉鎖しないという判断について、市長は10月23日の記者会見のやり取りの中で、聞いた話と前置きされながらも、市内のところで30年ほど前に門を閉めたことで内水氾濫を起こして、行政が負ける経験をしているというご発言がありました。事前に関係局に調査していただきましたが、この期間ではこの裁判の事実関係を示す資料は出てこなかったとのことです。もし事実であるならば、逆流が始まってもゲートを閉めないという判断を下す、異例のマニュアルの根拠となっていた可能性があるため事実関係が示されなかったのは残念であります。

※以下10月23日の市長記者会見

http://www.city.kawasaki.jp/170/page/0000109455.html

 次に2年前の台風21号の浸水被害について伺います。他会派の過去の質問でも、浸水地域に濁った水が出てきていると取り上げています。改めてお伺いしますが、2年前の台風21号浸水被害時、ゲートは閉鎖されなかったとのことですが、多摩川からの逆流はあったのでしょうか伺います。

答弁④

 平成29年台風第21号の浸水被害についての御質問でございますが、

 平成29年の浸水では、台風第21号の影響により、前日から降り続いた降雨に加え、明け方集中的な降雨が発生し大量の雨水が排水されていたところに、多摩川の水位が上昇し、排水が困難な状況となり、浸水被害が発生したものでございます。

質問⑤

 2年前の台風21号の浸水被害について、浸水地域の方から直接お話を伺いましたが、台風が去った23日の朝、出勤時に雨は止んでいたにも関わらず、マンホールから水が噴き出し続け、水位が上がり続けていたとお聞きしました。

 上下水道局の資料によりますと多摩川の最高水位は雨が止んだ後の23日朝7時半、氾濫危険水位8.40メートルを記録しています。

 雨が止んだ中で多摩川の最高水位を記録し、濁った水も混じった浸水が続いたわけです。これは逆流の事象ではないのでしょうか、他会派の代表質問の中で、台風19号の検証過程でゲートを閉めた場合のシミュレーションも実施するとの答弁がありましたが、実施する理由としてゲートを閉鎖しなかったことによって逆流が認められるからとのことです。このシミュレーションでゲートを閉めた場合の浸水の深さ、面積等明らかにすべきと考えますが、どのようなシミュレーションを行うのか伺います。

答弁⑤

 浸水シミュレーションにっいての御質問でございますが、

 浸水シミュレーションは、既存の下水道管きょの管径や深さに加え、当該地区の地盤高や地形的な特徴などを反映したモデルを構築し、台風による降雨状況や河川水位など様々な条件を与えて計算することにより、浸水範囲や浸水の深さなどの再現が可能となるものでございます。

 この浸水シミュレーションを活用することで、様々なケースでの浸水状況について、今後の検証のなかで、確認してまいりたいと考えております。

質問6

 浸水の深さや浸水の範囲の再現が可能とのご答弁ですので、山王地域での浸水範囲45haが減少する可能性もあります。ゲートを閉めてさえいれば被災されなかった方が分かる、非常に重要な検証の一部だと考えます。その検証についてですが、12月5日、被災された住民の方から検証委員会設置の要望が出されました。代表質問で下水や河川を専門とする第三者の意見を聞きながら検証を進めるとの答弁がありましたが、どのような形で第三者の意見を取り入れていくのか、住民から出された検証委員会設置の要望に応えていくのか、伺います。

答弁⑥

 検証委員会についての御質問でございますが、

 今回の検証にあたりましては、スピード感をもった検証とするため、現場を熟知し、当時の対応や施設の状況等を十分把握している職員において、取りまとめることが妥当であると考えているところでございます。

 また、この検証におきましては、下水道や河川を専門とする第三者から専門的な助言をいただき、検証結果に反映させてまいりたいと考えております。

 さらに、検証のとりまとめ過程において、被害にあった方々を含めた市民の皆様へ、ホームページによる情報提供や意見募集なども行ってまいりたいと考えております。

意見・要望

 意見、要望を述べさせていただきます。本来逆流を防止し、住民の生命、財産を守るためのゲートであったにも関わらず、逆流が始まっても閉鎖されなかった操作手順。その操作手順は多摩川を挟む東京都下水道局も採用していた河川課の通達を、本市の上下水道局のみ採用しない異例なものでした。さらに検証については2年前の台風21号時、逆流の見地にも立ってゲートを閉鎖した場合の浸水シミュレーションを行っておくべきではなかったのでしょうか、その経験に基づきゲートを閉鎖し、新設された雨水幹線に雨水のみを貯留していれば、その能力が最大限発揮できていたのではないでしょうか、以上を踏まえますと、今日までの操作マニュアル、検証、対策について疑問を持たざるを得ません。これが冒頭で申し上げた住民説明会での「天災ではなく人災だ」と市の責任、姿勢が問われる訴えに繋がっているのではないでしょか。現地では家に戻れず空き家も散見されます。浸水による生活環境の変化により睡眠不足、暮らしの再建が見通せず、疲弊されている方も増え始めてきております。暮らし、生活がめちゃくちゃになってしまった被災された方々の訴えにどう応えていくのか、職員の皆様の懸命な対応にも敬意を表した上で、検証委員会を設置しての徹底的な原因究明、再発防止策に関してはゲート操作手順の改定、以前地域から要望もあり、検討もされた専用ポンプ室を必要としないゲートポンプ設置についての再考、カメラ、水位計の設置など、安心して住み続けられる防災対策、被災者の復旧、復興の支えとなる明確な方向性を示して頂くことを強く要望しまして、次の質問へ入ります。


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